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シャトーパルメのセカンドワイン アルタ・エゴ・ド・パルメ2011
今回は、ボルドーのACマルゴーのシャトー・パルメのセカンドワインです。ACマルゴーにはメドック格付け1級のシャトーマルゴーがありますが、その次に同3級のシャトー・パルメの名前が良く上がります。
後述の生産者の情報に記載していますが、ACマルゴーはボルドー左岸に位置し、土壌などからカベルネ・ソーヴィニヨンが多く植樹されており、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いワインが造られます。
シャトー・パルメは、一般的な左岸のアッサンブラージュ(ブレンド)よりもメルロー比率が高い傾向にあります。ちなみに、メルローはボルドー右岸のワインでは比率が高い傾向にあります。
パルメのセカンドは、パルメ以上にメルロー比率が高く、今回の2011ヴィンテージはメルロー48%、カベルネ・ソーヴィニヨン37%と、カベルネ・ソーヴィニヨンよりもメルロー比率が高くなっています。まるでボルドー右岸のようなアッサンブラージュです。
そのためワインは早めに熟成しそうですし、独特な柔らかい香りやビロードのような滑らかなボディを想像します。同時に、超長期の熟成はひょっとすると難しいのかもしれません。
そんなことを考えながら、2019年の年末に抜栓しました。抜栓時期としては、個人的にはちょうど良い位のタイミングだったと感じました。しかし、ひょっとするともう数年寝かせても面白いかなぁという印象もありました。
シャトーパルメのセカンドワイン 生産者シャトー・パルメについて
生産者の情報はエノテカオンラインから引用しています。
過去にボルドーに旅行に行った際に、シャトー・マルゴーの畑越しに、シャトー・パルメのシャトーを見たことがあります。シャトー・マルゴーと隣接しており、ACマルゴーの両巨頭は素晴らしいテロワールを持っているんだろうと想像します。
詳しくはこちら(エノテカオンラインのページ)
マルゴーアペラシオンのなかで、格付け第1級のシャトー・マルゴーに匹敵するのが、このシャトー・パルメ。1級と2級シャトーの間の価格帯で取引されており、それはボルドーのワイン商や海外の輸入業者、世界中の消費者がこのワインに高い価値を見出している証拠です。
小塔のある印象的なパルメのシャトーは、小さなイッサン村の真ん中にあり、ボルドーのワイン街道のすぐ脇にたたずんでいます。 1995年からリュット・レゾネでブドウ栽培を行い、2004年から総支配人を務めているトーマス・デュロー氏がビオディナミに取り組み、2017年にビオディナミの認証を取得しました。力強くクラシックなスタイルだった頃と比べると、ピュアで優しい果実味を感じられるスタイルを表現しています。
ワイン造りの特徴としては、他のシャトーに比べてメルロの比率が高いことが挙げられます。手摘みのブドウは醸造所に届くとすぐに畑の区画と品種ごとに慎重に分類され、54個もの温度管理可能なステンレスタンクで区画ごとに最適な方法で醸造されます。マセラシオンの期間を長くすることで、果皮から色素やタンニンをしっかりと引き出し、マロラクティック発酵を実施。その後50%以下の新樽比率で18~21ヵ月間フレンチオークで熟成させます。こうすることでマルゴーらしい香り高さや華やかさ、柔らかさとともに、透明感のあるナチュラルな味わいを表現しているのです。
決して樽香が強く出過ぎることのないパルメは最初の数年は控えめな印象ですが、次第に洗練されつつ、心が安まる穏やかなブーケを育み始めます。その柔らかさが気高いシャトー・マルゴーと最も異なる点でしょう。マルゴーの華やかさと複雑性を備えているシャトーパルメ。独特の香り高いブーケと複雑で妖艶なアロマ、そして滑らかなテクスチュアは飲む者を魅了して止みません。
シャトーパルメのセカンド アルタ・エゴ・ド・パルメの感想
シャトーパルメのセカンドワイン アルタ・エゴ・ド・パルメの抜栓直後の感想
抜栓直後からボトルから香りが溢れ出てくる。
2日前に飲んだポイヤックのグラン・ピュイ・ラコスト’94の素晴らしい香りとは全く異なる。ああ、ACマルゴーの香りだと感じる。また、メルロー比率が高いことも影響しているように思う。
香りは熟したブラックベリー、カシス、西洋杉、土っぽさ。複雑で多様。うーんと唸らせるような素晴らしい香り。プラムのような酸味のある香りもあり、まだ若々しさも残しているようなイメージが思い浮かぶ。しかし全体の印象では熟した黒系果実やスパイスの甘い香りがする。
口に含むと、程よく熟した黒系果実、酸味と旨味、果実味は豊富でぎっしり。凝縮感が凄い。タンニンはまだ豊富に感じる。
早過ぎることはなく、なかなか良いタイミングの抜栓と感じましたが、まだまだ熟成できたのだろうか?タンニンが完全にはこなれず少し気になる感じです。もちろん全体としてワインの評価を下げるレベルでは全くない。
シャトーパルメのセカンドワイン アルタ・エゴ・ド・パルメの抜栓1時間後 本領発揮
抜栓から1時間超経過し、2杯目に口をつける。
(チーズとペアリングしつつ飲んでいます。)
チーズのおかげか、抜栓後の時間でワインが開いたためか、全くタンニンは気にならなくなっています。
ボディは非常に密度が高いですが、まさにビロードのような滑らかな液体が舌の上を流れていきます。また、柔らかいマイルドな味わいで、かつ、素晴らしく芳醇な香り。
今回の2011ヴィンテージは明らかに熟成により、香りが複雑で芳しい、まさに芳醇な香りになっていると思います。熟成したアルタ・エゴ・ド・パルメは、素晴らしワインでした。
サンジュリアンのような甘味もありますが、同時にポイヤックの様なしっかりした味わいもあり、そして、ACマルゴーらしいエレガントさがあります。やっぱり美味しいです。
(このワインは10年以上前にも飲んでいますが、その時はかなり若いヴィンテージを飲んでいたので、メルロー比率が高いからかイガイガやゴツゴツはしなかったものの、フレッシュな黒系果実の果実味がぎっしりで、タンニンがこなれる前でした。なお、その時は今回のような芳醇な香りはありませんでした。)
シャトーパルメのセカンドワイン アルタ・エゴ・ド・パルメに3種類のチーズをペアリング
ラコスト’94の時と同様、チーズを合わせてみる(成城石井で購入)。下記写真は再掲。
写真の中「カマンベール」と合わせると、タンニンと酸味が抑えられ、ワインがマイルドになり、旨味もしっかり味わえる。
写真の右「コンテ」と合わせると、タンニンは抑えられるが、酸味は維持したまま楽しめる。マイルドになると言うよりは、ワイン本来の果実味やポテンシャルを味わえるような印象になった。
写真の左「ミモレット」は少し酸味を抑え、タンニンも抑えてくれ、少しマイルドになったような印象。カマンベールより変化が少なく、チーズを食べる前のワインに一番近い。
チーズごとに違う味わいになり非常に面白い。いずれも少し気になっていたタンニンは全く気にならなくなっている。個人的にはカマンベールとのペアリングが好みですが、他2つも違うアルタ・エゴを楽しめて非常に面白く、そして、美味しい。
オールドヴィンテージについてちょっと考える
ボルドーは若いヴィンテージもいいですが、ある程度熟成させてから飲むと、芳醇な香りがして複雑で深淵だなぁと感じます。
もし財布事情が許せば、オールドヴィンテージを買う。財布事情が許さなくても、まだ安価な若いヴィンテージを買い、セラーで数年寝かせて飲むなど、やり方はいろいろありそうです。
また、いわゆるボルドーのグレート・ヴィンテージと言われる年は、素晴らしいワインだと想像しますが、如何せん飲み頃までの時間が、より長期に及ぶ傾向があるように感じます。というか40年後とか異様に遠い未来だったりすることもあります。
ですので、私はほどほどの出来(評価)のヴィンテージのオールド・ヴィンテージを購入して、ほどほどの熟成期間で飲んでいることが多いです。コストも低めで、抜栓までの時間も短くて済みます。
さらに、応用といいますか、私の場合、セカンドワインのオールドヴィンテージを買うことも多いです。セカンドワインはファーストに比べて当然価格は控えめであること、そして、ファースト程熟成しないため、早めに飲み頃を迎えることができるなどです。
もちろんファーストとセカンドは使っているブドウが異なったり、ブレンド比率が異なるなど別物です。しかし、私などはいろんなワインの経験をしたいので、価格を抑えて種類を経験する方が良いのではないかと思ったりもしています。
いろんな方法や楽しみ方がありそうですから、ぜひオールドヴィンテージもチャレンジして、若いヴィンテージとも飲み比べていただくとワインをより楽しめると思います。
シャトーパルメのセカンド アルタ・エゴ・ド・パルメ ワインの基礎情報
・生産地:フランス>ボルドー>マルゴー
・葡萄品種:メルロ48%、カベルネ・ソーヴィニヨン37%、プティ・ヴェルド8%
・参考価格:10,000円位~(若いヴィンテージ)
・ポイント:パーカーポイント89点
・原産地呼称、格付:ACマルゴ-、メドック格付3級。
・栽培法:リュット・レゾネ(1995年から)、ビオディナミ(2004年から。2017年認証取得)
・醸造法:手摘み、温度管理されたステンレスタンク54の区画ごとに醸造、50%以下の新樽比率18~21か月フレンチオーク樽で熟成など。
・購入先:エノテカオンライン
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