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シャトー・マルゴー1996について
憧れだった5大シャトーの1つシャトー・マルゴーのグレートヴィンテージ1996です。私では一生に一度飲むことができるかどうかというワインです。念願叶って20年以上熟成したものを購入することができました。
抜栓後24時間以上かけて飲みましたが、まだまだポテンシャルを出し切っていないのではと思える素晴らしい味わいでした。
このワインを購入したのは、妻の節目の誕生日のお祝いと、また、2年間の海外赴任から帰国した妻への慰労を兼ねてプレゼントしました。
特に海外赴任先の都市では、何度もテロリズムがあったり、クーデターが発生して外出禁止令が出るなど政情不安であったことから、普段以上の慰労とお祝いの意味を込めました。
そして、この記事をアップした日は、20回目の結婚記念日です。
シャトー・マルゴー1996 生産者のシャトー・マルゴー
生産者のシャトー・マルゴーについては本記事下部のこちらに記載しています。
写真は、以前行ったボルドー旅行の際、シャトー・マルゴーに立ち寄った時のもの。下記はシャトー・マルゴーの前に広がるブドウ畑と、遠方に見えるのはシャトー・パルメ。
シャトーマルゴー1996 ワインの感想
(上記写真のボトルのサインは元総支配人の故ポール・ポンタリエ氏のもの)
抜栓直後:
一口だけテイスティングすると、まだ目覚める前で静かに寝ているようです。凝縮感のある黒系果実がしっかりとあり、タンニンそのものを感じる印象ではないですが、濃厚な液体です。
であれば、カベルネ・ソーヴィニヨンのどしんとしたフルボディをイメージしますが、そこはシャトー・マルゴー、抜栓直後もフルボディながら上品さを持ちあわせている感じです。
まだ眠りから覚めないようですので、起こさず、そのまま目覚めるのを待つことにしました。
抜栓後3~6時間:
抜栓直後とは違い、息を吹き返したかのように、気品ある香りを漂わせていました。華やかな香りのする花束をプレゼントしてくれました。その大きな花束に顔をうずめているかのように、溢れ出る香りたち。
傍らのテーブルにはフルーツやハーブなどが盛られている。黒系の果実は美味しそうに熟れた少し甘やかな、うっとりする香り。ヴァニラ、タバコ、杉、トリュフなどのニュアンスの異なる香りが何層にも重なり合うように、しかし一定のまとりまりを見せつつ、押し寄せてきます。なんて複雑でエレガントなんだろう!
グラスをスワリングして、かなりの間、その香りとその変化に魅了され、口になかなか含むことができません。そろそろ飲もうと口を近づけると、気品のある香りのために、再度、グラスをテーブルに戻して残香を楽しんでしまう。高貴すぎる女王には近づくことすらできないのだろうか。
何度目かにグラスを口に近づけた時、意を決して液体を口に含むと、絶妙な熟れ具合のブラックベリー、ブルーベリー、カシスなどの凝縮した黒系果実、リコリス、ヴァニラなど様々な要素を含んだ複雑で上品な味わい、旨味、そして同じく上品な程よい甘味…。
密度の高い濃厚な液体には、香りと同じように、様々な味の要素があり、複雑さを見せますが、全体としてなんとも言えないバランスを取り、エレガントなワインに仕上っています。
ボディは非常にしっかりとしていますが、同時に、非常にしなやかな印象を受けます。まさに女王の風格。曲線に包まれた美しい姿の中に、統治者たる王として折れることのない太い芯を持っているようです。
隙間がないほど密度が高く凝縮感があり濃厚ですが、それでいてシルクのように舌の上を滑らかに滑るように流れていく、非常にエレガントです。
まさに、気品を感じる高貴な女性であり、かつ、王の風格を持つ女王です。
抜栓後24時間以降:
香り・味わい共に、さらに華やかさが増している。
昨日目覚めたエレガントな女王は時間の経過とともに、まるでその時間を逆行して若返っていくかのよう。しかも、年齢を重ねることによって身に纏うことができる魅力やある種の風格・高貴さを持ったまま、華やかに若返っていく。
そして、ついにこの時が来てしまう。女王との別れの最後の一杯。この一杯が最も華やかな香りと味わいに満ちていました。最後まで、女王の風格を保ちつつ、最高のエレガンスを感じさせてくれました。
このワインはヘタることがあるのでしょうか。抜栓後24時間超程度では、そう感じさせるほど、まだまだ若返っていくようです。
その恐ろしいほどのある意味、妖(あやかし)のような魅力は、妖艶と表現すべきか。
さらに、24時間、48時間と時間が経つと、どう変化したのでしょうか。
すべてを曝け出すことなく、神秘性を残したまま立ち去る女王に、強いカリスマを感じてしまう。そして、いつかもう一度拝謁したいという渇望が生まれる。
10年後か20年後に、再度1996の女王に拝謁したとき、どのような風格や高貴さをまとっているのかを夢想してしまいそうです。
最後の余韻を楽しみながら、去りゆく女王の後ろ姿を見つめ続けました。
追記:私など素人テイスターが文字で語れるような代物ではありません。陳腐になるだけです。そのためワインの感想は妄想バージョンとしました。ただただ圧倒されながら、一生に1度かもしれないこの機会を最大限楽しむのみでした。
妻も楽しく飲んでくれていました。2日目の方が美味しかったようです。
本記事下部にロバート・パーカーJr氏のコメントを引用していますので、パーカーちゃんのちゃんとしたコメント・感想もご参照ください。こちら
シャトーマルゴー1996の基礎情報
・生産地:フランス >ボルドー >マルゴー
・葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン85%、メルロー10%、カベルネ・フラン2%、プティ・ヴェルド3%
・参考価格:1996vt:140,000円〜。若いヴィンテージ:60,000円台〜。
・ポイント:パーカー・ポイント99点、ワイン・アドヴォケイト誌100点、ワイン・スペクテーター誌95点。
・格付:ボルドー、メドック格付1級
・購入先:エノテカ大阪店
「シャトー・マルゴー1996」
「シャトー・マルゴー」
余談ですが、約20年前にシャトー・マルゴーを1度購入しています。当時の若いヴィンテージで価格が16,000円でした!!もちろんファーストですよ。
リリース直後でも2016ヴィンテージは軽く10万円超え、2015ヴィンテージは15万円! 世界のワイン人口が増えると価格はまだまだ上がるかもしれませんねぇ。
・「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー」 シャトー・マルゴーのセカンド。セカンドも以前飲んだことがありますが、並みのACマルゴーよりはるかに格上の華やかな素晴らしいワインです。初めて飲んだ時は、数千円だったのに、今や数万円のワインに!
・「マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー」 シャトー・マルゴーのサード。このワインはエノテカ大阪店のワイン教室上級編(リンク先は本ブログの記事)でいただきました。サードで1万円超えとはびっくりですが、確かに美味しいワインです。まだ若いヴィンテージでしたので、熟成させるとさらに面白そう。
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シャトー・マルゴーの情報
シャトーマルゴーのページからの抜粋・要約(エノテカ)
詳細はこちら(エノテカオンラインのページ)
1855年の格付け当時から五大シャトーの先頭を争う高貴なワイン、シャトー・マルゴー。さらに、その際に行われた20点満点のテイスティングでは唯一満点評価を受け、名実ともにボルドーワインの頂点へ登り詰めました。
30年にわたりシャトー・マルゴーの最高醸造責任者を務めた故ポール・ポンタリエ氏は、シャトー・マルゴーを「ベルベットの手袋の中の鋼鉄の拳」と表現。
そのように女性らしくも力強さを秘めたワインと形容される理由は、第1に優雅で香り高い、マルゴー特有のエレガンス。それに加えて、たっぷりとした果実味と豊富なタンニンを備えていることからです。
ワイン愛好家を虜にする、そんなシャトー・マルゴーは、2006年からマルゴー特有のエレガンスを最大限に引き出す為、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率を高めており、造られるワインも新樽率100%というこだわり。また収穫においても選果をさらに厳しくし、ファースト・ラベルに使われるブドウは全体の僅か35%前後です。
最高のテロワールで育ち、極めて厳しい選果をクリアした珠玉のブドウだけをグラン・ヴァンに使用しています。
ポンタリエ氏が「上質なブドウ果実が手に入れば、醸造はその最高の表現を引き出すことに全力を尽くすだけだ」と語るように、最高のテロワールで最上のものを造るために、栽培から醸造まで全てを徹底する。
マルゴーはメドックの最も南、ジロンド河の上流に位置する村で、畑が位置するのも内陸寄りです。砂利質土壌に入り混じった、石灰質や粘土質の土壌が味わいに陰影を与えています。
広い村ですがブドウ畑の面積は村の約2割程度にシャトーが点在。シャトーごとのテロワールも異なり、様々なタイプが存在するアペラシオンです。
よくマルゴーのワインは「女性的」という表現をされますが、実際に飲んでみると多くのワインが非常に厳格な印象があり、「華やかだが、芯は強い」そんな深い女性像を思わせます。
シャトーマルゴー1996 ロバート・パーカーJr氏のコメント
1998年9月に瓶詰された1996年のシャトー・マルゴーは、メンツェロプロスの管理下でつくられた、偉大なる古典的なワインのひとつである。あらゆる点でシャトー・マルゴーの真髄をあらわした、このブドウ園の模範ともいえるこのワインは、抑制された力、桁外れのエレガントさ、見事な複雑さのコンビネーションである。
私はこのワインを、1月に3度、別々の機会を設けて試飲したが、一言で言って、すばらしい! 光を通さないほど濃い紫色をしていて、ブラックべリー、カシス、トースト、花の桁外れに純粋な香りを漂わせ、豪華な甘さと、継ぎ目のない個性を示し、フルボディで、場違いな要素は何もない。
最終的なブレンド(カベルネ・ソーヴィニヨン85%、メルロ10%、残りがプティ・ヴェルドとカベルネ・フラン)は、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が1986年のほうが好みだと評したが、それは、このワインが途方もないものであることの証なのである。
次々と試飲を繰り返すたびに、やや内向的ではあるものの、1996年にはさらに完璧で余韻の長い味わいが感じられた。私の勘では、このワインは閉じるだろうが、現在は目の開いた、最近瓶詰したような味わいが感じられる。果実味は桁外れに甘くて純粋であり、口に含むと層をなす味わいがする。
私は昨年、このワインが1995年、1990年、1986年、1982年の品質を凌ぐものとなるかという問題を投げかけた。時間が答を出してくれるだろう。
個人的には、純粋に快楽主義の観点からすれば、ふくよかでとろりとした1990年のほうが好みであるが、このワインは桁外れの香りのよさと、マルゴーの歴史のなかで最も凝縮したヴィンテージと同じ豊かさを持つワインに発展を告げるであろうと、私は信じている。
飲み頃予想は2005年から2040年の間。
引用元:「厳正評価 世界のワイン―ワイン・バイヤーズ・ガイド (第1分冊)」(第5版)(
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