フランスの制度

フランスワインの原産地呼称制度AOCとIGP、ラベルの見方

はじめに

この記事ではフランスの原産地呼称制度(ワイン法)について、大まかに整理をしておきたいと思います。この記事を読むと、例えば、ワインのラベル(エチケット)にボルドーという名称が書かれていたら、それは何を意味しているのかを理解できるようになる水準を目指します。

なお、原産地呼称制度そのものやEUの制度については下記記事を参照ください。

ワインの原産地呼称制度って何? EUの制度についてこの記事では、ワインの原産地呼称制度とは何かについて、概要を説明しています。これを知っているとワインのエチケットを見ただけで、多くの情報を得ることができるようになります。その上でワインの代表的な算出地域であるEUの制度について説明しています。...

フランスワインの原産地呼称制度AOCの要件

フランスワインの生産量は、2018年は第1位のイタリアについで世界第2位です。ちなみに、第3位以下は、スペイン、USA、アルゼンチン、中国、チリ、オーストラリア、ドイツ、南アフリカ、ポルトガルの順に続きます。(参考「STATE OF THE VITIVINICULTURE WORLD MARKET  State of sector in2018 April2019」OIV(Office International de la vigne et vin)

フランスは著名な銘醸地であるボルドー地方やブルゴーニュ地方、そして、シャンパーニュ地方などを擁し、それぞれの地域の土壌や気候に合う様々なワインを生産しています。また、別の面では劣製ワインの過剰生産や、偽物ワイン・不正取引が横行した歴史があります。

そのため、虚偽ワインの規制と市場の安定を図る目的で1935年に原産地統制名称(AOC)法を制定し、高い品質を保持しています。

AOCは、次の品質要件を規定します。

・生産地域の地理的範囲

・ブドウ品種

・ヘクタールあたりの収量

・ワインの最低アルコール度数

・栽培・醸造方法

など。

そんな原産地呼称制度について簡単に整理して行きたいと思います。なお、原産地統制名称と同義という理解で良いと思います。

フランスワインの原産地呼称制度AOCとIGP

フランスのワイン法での原産地呼称制度は、地理的表示付きのワインと、地理的表示のないワインとの大きく2つに分かれます。さらに前者は、AOCとIGPの2つに分類されます。ちょっと難しいというか固いですが、下記「メモ」にAOCとIGPの内容を記しておきます。(2009年以降)

1 地理的表示付きワイン

1)AOC

2)IGP

2 地理的表示のないワイン

A.O.Cとは

・Appellation d’orijine Controlee (アペラシオン ドリジン コントローレ) の略。原産地統制名称。EUの制度※ではAOPに該当する。

・各産地の保護団体(ODG)が策定する仕様書(カイエ・ド・シャルジュ)を順守する必要がある。なお、仕様書はフランスおよびEUで認定を受ける必要がある。独立した検査機関が仕様書の順守状況を検査する。I.N.A.O(国立原産地・品質研究所)が管轄する。

・生産地域の地理的範囲のほか、ぶどう品種、ヘクタールあたりの収量、ワインの最低アルコール度数、栽培・醸造方法などの品質要件などを法律で規定したもの。

※EUの制度について

2008年以前のフランスの制度について

2008年のEUの新たな理事会規則の制定を受けて2009年以降現在の形になっていますが、それ以前は次の4階層に分類されていた。なお、カッコ内は現在の分類。

・AOC(AOC)

・AOVDQS(AOCまたはIGP)

・ヴァン・ド・ペイ(IGP)

・ヴァン・ド・ターブル(地理的表示無しワイン)

 

I.G.Pとは

・Indication Geographique Protegeeの略。EUのIGPにあたる。

・A.O.Cより規定は緩やかで、I.G.Pについての表記を使用するためには、各産地の保護団体(ODG)が策定する仕様書(カイエ・ド・シャルジュ)を順守する必要がある。独立した検査機関が仕様書の順守状況を検査する。

このように厳格に規則で定めらていて、AOCの場合独立した国立の検査機関まで設けられています。また、各産地の保護団体が策定する仕様書には非常に詳細に規定されており、ワインの品質やオリジナリティを守っています。この本気さが制度を守っているとも言えそうです。

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フランスワインのラベルで産地を確認

フランスワインの品質分類を実際のワインのラベル(エチケット)で見ていきます。なお、エチケットからは、ワイン名、産地(AOC、IGP)、ヴィンテージ、生産者名が分かるようになるといいと思います。

ほかにもボトリングしたのが誰かとかいろんな情報があるのですが、ただのワイン好きの私レベルだとあまり意識はしていません。

また、この記事で記載している内容は、一般的な取り扱い程度にご理解いただくと幸いです。例外多数です。恐らくAOC法や仕様書に多数規定されているものと思われます。

・AOC = AOC

・IGP = ヴァン・ド・ペイ

・地理的表示のないワイン = ヴァン・ド・ターブル(テーブルワイン)

AOCについて

AOCは、エチケット上は次のように表記され、〇〇のところに産地名が入ります。エチケットでは、ワイン名か生産者名が大きく記載されています。中央にワイン名の記載があり、その下あたりにAOCの表記があります。または、もっと下の方の細かい字のあたりに記載がある場合もあります。

Appellation 〇〇 Controlee (アペラシオン 〇〇 コントローレ)

フランスの代表的な産地、ブルゴーニュ地方とボルドー地方を例にとって、このブログで紹介しているワインを当てはめてみます。

ブルゴーニュの場合

・「Bourgogne」(ブルゴーニュ)と入れば、「ブルゴーニュ」地方のワインを指す。

二コラ・ロシニョールのブルゴーニュ・ピノノワール2015ブルゴーニュ・ピノノワール2015、生産者:二コラ・ロシニョール。華やかな花の香りがします。赤い果実や土の香り。口に含むと、エレガントな赤系果実の味わいがあり、複雑にスパイスなどが混ざり合っています。うっとりする美味しいワインです。...

・「Chambolle Musigny」(シャンボール・ミュジニー)と入れば、ブルゴーニュ地方の「シャンボール・ミュジニー」村のワインを指す。

ルーデュモン シャンボール・ミュジニー2000の古酒を味わうルーデュモンのレア・セレクションです。ブルゴーニュのシャンボール・ミュジニー2000。6000円台でシャンボールの古酒が味わえました。花の香り、スパイス、森の下草など香りの複雑さがあり、酸味が控えめな赤系果実やミントなど、いろんな香りや味わいが溢れています。...

・「Nuits-Saint-Georges-1er-cru Clos-Saint-Marc」(ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ・クロ・サン・マルク)と入れば、ブルゴーニュ地方の「ニュイ・サン・ジョルジュ」村の「1級(プルミエ・クリュ)」畑の「クロ・サン・マルク」畑のワインを指す。※

ブルゴーニュワイン、ニュイサンジョルジュ1級(モノポール) パトリス・リオンのドメーヌ、モノポールもの。1級畑、クロ・サン・マルク。単独所有畑、ビオ手法で大切に育てた土壌と葡萄からAOCブルゴーニュや村名と一味違う味わいに。滑らかだけど骨格があり、あふれ出す果実や花の香りが止まらなくなる...

・2015などの数字は、ワインを造ったブドウの収穫年を指します。

・通常ワインの生産者名が記載されている。

※ブルゴーニュは、村名の上に「一級畑(プルミエ・クリュ)」、さらにその上に「特級畑(グラン・クリュ)」のAOCがあります。

上記例として示したワインのエチケットを見ていただくとお分かりのとおり、ボルドーのエチケットは「Appellation 〇〇 Controlee」と〇〇の場所に地方や地域名が入るので、ワインを買う際にどういうワインかを私は理解しやすかったです。

また、ワインそのものの名称は、シャトー名となっているもの(上記シャトー・ラグランジュなど)や、そうでないものは下記写真のように個別に名付けられていました(※)。特に私はワインを飲み初めの頃はボルドーをよく飲んでいましたので、このパターンになじみました。

※上記写真のワインの場合

ワイン名称:「Le Haut Medoc de Branaire-Ducru」(ル・オ-・メドック・ド・ブラネール・デュクリュ)

直訳すると「ブラネール・デュクリュの(造る)オーメ・ドック(のワイン)」

AOC:「HAUT-MEDOC」(オー・メドック)

オー・メドックはボルドーの中の一地域

製造しているシャトー名はエチケットにありませんが、シャトー・ブラネール・デュクリュです。

ブラネール・デュクリュがオー・メドックで造るボルドーワインボルドー・メドック格付4級のシャトー・ブラネール・デュクリュルが造るオ-メドック・ド・ブラネール・デュクリュ2011。抜栓からフィニッシュまでの変化、凝縮感、余韻、熟成感などボルドーらしい奥深さを感じることができるワインでした。 ...

そして、ボルドーのエチケットに馴染んだ後、ブルゴーニュワインを飲むようになったのですが、ブルゴーニュはエチケットに大きく産地名が書かれており、「Appellation 〇〇 Contolree」の〇〇の位置には書かれていないのが多かったので、しばらく混乱しました。

例えば、大きく「ブルゴーニュ・ルージュ」とワイン名があり、その下に小さく「アペラシオン・コントローレ」と記載があり、「〇〇」の部分の記載がないパターンです。その場合は、〇〇の部分がそのままワインの名前、「ブルゴーニュ・ルージュ」などとなっているので、慣れればボルドーよりもわかりやすいかもしれません。

また、必然的にブルゴーニュは同じ名前のワインが多数あります。「ブルゴーニュ・ルージュ」や「ブルゴーニュ・ピノ・ノワール」のようなワイン名です。そこで、生産者が誰なのかがエチケットに表記されていますので、どの生産者が造ったブルゴーニュなのかという視点でエチケットを見ていくようにしています。

いずれも「ブルゴーニュ」です。ワイン名の後ろの「ルージュ」は赤を意味します。「ピノ・ノワール」は使われているブドウの品種を指します。「2015」等は使われているブドウの生産年、いわゆるヴィンテージを指します。そして、生産者名が入っています。ex「ルーデュモン」「マトロ」など。

ブルゴーニュ・ルージュ2015 ルーデュモン

ルーデュモンのブルゴーニュルージュが私のワイン人生を変えた!ブルゴーニュルージュ2015.2014年ヴィンテージ以降は毎年ダース買いしているお気に入りの3000円台のワインです。NHK『仕事の流儀』で紹介され、また、『神の雫』でも多数ワインが登場しているワイナリー。ネゴシアンもののAOCブルゴーニュ・ルージュです。...

ブルゴーニュ・ピノ・ノワール2013 マトロ

ピノらしい素晴らしい香りを纏ったマトロのブルゴーニュワイン マトロのブルゴーニュ・ピノ・ノワール2013。3000円台~。オーガニック農法で造るピノはバラや赤い果実の素晴らしい香りを纏ったワインとなっています。味わいは、酸味・甘味が控えめな優しい赤い果汁が口の中で弾けるような美味しいワインです。...

ブルゴーニュ・ピノノワール2013 フランソワ・フュエ

ビオデナミや手摘みでピノ・ノワールの魅力を引き出すF・フュエブルゴーニュ・ピノノワール2013、生産者:フランソワ・フュエ。私の中では、フランソワ・フュエはピュアなピノノワールを味わえるという印象の生産者です。私の現時点の自己紹介の写真もこのフュエのモレサンドニ1級とエシェゾー特級の計4種を飲み比べた時のものです。ピュアで美味しかったです。このブルも中々です!...

ブルゴーニュ・ピノ・ノワール2015 パトリス・リオン

パトリス・リオンのブルゴーニュルージュは透明感のある美味しさパトリス・リオンのブルゴーニュ・ピノ・ノワール2015。2012ヴィンテージからの毎年のリピートです。2015vtは過去よりやや果実の凝縮感があり、ピュアな赤い果実が口内にジュワッと広がる感じに、スパイシーさが加わり非常に楽しめます。...

この2つの産地の法則を理解すると、他の産地もエチケットを見れば概ねどの産地のワインかはすぐにわかるようになります。あとは、意識してエチケットを見るようにすれば、自然と良く飲むワインの産地名は頭に残っていきます。

余談ですが、最近フラン旅行に行った際に、現地で売っているワインのエチケットを見ると、AOCでなくAOPの商品をたくさん見ました。AOP※はEUのルール上、AOCにあたります。

※EUのルールとAOP

1つの見方ですが、フランス国内で流通させることを主目的ではなく、EU全域で流通することを意識したワインなのかなぁと感じました。有名なワインはAOCのままでも何ら問題がありませんが、そうでないワインや新商品のワインなどは初めからAOPにしておくというわけです。ただ、EU内の流通は普通の国家間と異なり、制限や関税などの障壁が低く、国内流通に近い感じではないかと思います。そのため、最近は単にAOPで表記しているのかもしれません。日本で売っているワインもそんな視点でチェックしていただくと面白いかもしれません。

IGPについて

IGPは、AOCより規定は緩やかになっています。

エチケットには次の表記をする。

・IGPまたはIndication Geographique Protegeeと表記するかIGPのロゴを掲載する。

・「ヴァン・ド・ペイ」の表記も認められている。

・数字はブドウの収穫年を指す。

・通常ワインの生産者名が書かれている。

IGPは75種類ある。

IGPの数が75というと多いように感じますが、産地別にみると数種類や無しの地域もありますので、良く飲む地域だけだとそんなに大した数はありません。

エチケットの情報ですが、このブログでも紹介しているIGPクラスのワインを下記に掲載しておきます。

下記参考のルーデュモンのペイ・ドック・ピノ・ノワール2016の瓶の裏面の情報をよく読むと、真中下位に「PAYS D’OC PINOT NOIR 2016」とワインの名称とヴィンテージの記載があり、その真下に「INDICATION GEOGRAPHIQUE PROTEGEE」(IGP)の記載があります(拡大していただく必要があると思います。恐縮です)。

普通は表のエチケットに記載がありますが、ない場合は裏面もチェックしてみてください。

余談ですが、最近フランス旅行に行った際、現地のスーパーで、このIGPが入ったワインがたくさん売っていました。ローコストで美味しい庶民の見方は現地ではよく売れているんだと思います。日本にももっと輸入されると嬉しいですね。

地理的表示無しのワイン

地理的表示なしのワインは、ほんとの日常用のワイン、いわゆるテーブル・ワイン(ヴァン・ド・ターブル。直訳するとテーブルのワイン)というイメージです。

例えば、地理的に離れた産地のブドウをブレンドしたり、ブレンドの比率やブドウの種類も自由です。また、複数のヴィンテージをブレンドしても可能です。また、そのルールもありません。

品種、収穫年の表示が任意でエチケットに記載することが可能となっています。

地理的表示をすることができないワインとなりますので、あまりエチケットを見て情報を得たり、何かを意識して見たりすることもないと思います。楽しくガバガバ飲むワインではないでしょうか。

フランスワインの原産地呼称制度とラベルの見方について まとめ

最後に繰り返しになりますが、まとめておきます。

フランスは有名な銘醸地を抱え、高品質なワインを生み出しています。その高い品質は原産地呼称制度(AOC)によって、虚偽ワインの規制と市場の安定を図ることで成立させています。

そんなAOCは、次の品質要件を規定します。

・生産地域の地理的範囲

・ブドウ品種

・ヘクタールあたりの収量

・ワインの最低アルコール度数

・栽培・醸造方法

など。

フランスワインは以下の品質分類があります。

・AOC = AOC

・IGP = ヴァン・ド・ペイ

・地理的表示のないワイン = ヴァン・ド・ターブル(テーブルワイン)

AOCは、エチケット上は次のように表記され、〇〇のところに産地名が入ります。

Appellation 〇〇 Controlee (アペラシオン 〇〇 コントローレ)

ブルゴーニュの場合

・「ブルゴーニュ」と入れば、「ブルゴーニュ」地方のワインを指す。

・「シャンボール・ミュジニー」と入れば、ブルゴーニュ地方の「シャンボール・ミュジニー」村のワインを指す。

・数字はブドウの収穫年を指す

ボルドーの場合

・「ボルドー」と入れば、「ボルドー」地方のワインをさす

・「サン・ジュリアン」と入れば、ボルドー地方の「サン・ジュリアン」村のワインを指す。

・数字はブドウの収穫年を指す

IGPは、AOCよりは緩やかな規定になっています。

エチケットには次の表記をする。

・IGPまたはIndication Geographique Protegeeと表記するかIGPのロゴを掲載する。

・「ヴァン・ド・ペイ」の表記も認められている。

・数字はブドウの収穫年を指す。

IGPは75種類ある。

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フランスワインの原産地呼称制度AOCとIGP 参考文献

1 「2014 ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート 日本ソムリエ協会 教本」一般社団法人日本ソムリエ協会

※私の持っているのは古い「2014」ですので、上記記事の内容は更新されている可能性があります。

2 「STATE OF THE VITIVINICULTURE WORLD MARKET  State of sector in2018 April2019」OIV(Office International de la vigne et vin)

ABOUT ME
ワインの探究者ヴァンさん
★週末だけでもいいので、ちょっと美味しいワインを飲みたい!というタイプです。★必然的に家飲みが多めですが、ソムリエ・ソムリエールがサーブするワインバーも大好きです。 ★直近2年程で500種類を飲み、ワインセラーのストックは300本超に。 ★好きなコミック:『神の雫』

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